ピアノの恩師、紅林こずえ先生の訃報

石川県 金沢市と加賀市にあるピアノ教室、i.s-m.rピアノ教室の坂野下育世です。

先週の事になりますが、1通の封筒が届きました。差出人が息子さんのお名前だったので手にした瞬間、ピンときました。

覚悟して封を開けると思ったとおりの内容で、恩師の紅林こずえ先生が昨年3月に永眠された事を知りました。

卒業してから毎年、年賀状でのやりとりが続いていましたが、今年は返ってこなかったので気になっていました。

 

この1週間、思い出すことが沢山ありました。

紅林先生は桐朋音楽大学の教授で、仁愛短大に客員教授として月に一度レッスンに来られていました。短大から5年間 先生には数え切れないほどの沢山の事を与えて頂き出会えたことに感謝と幸せを感じています。

 

初めてのレッスン、たしかベートーヴェンのソナタとバッハのシンフォニアを持って緊張しながらドアを開けたら、煙草の残り香(当時は室内禁煙ではありませんでした)がしていて、そこにスレンダーですごいオーラを感じる紅林先生がいました。

話し方が落ち着いていて、一言一言はとても意味のある言葉に感じられ、ちょっとこわいな…と第一印象でしたが、とても柔らかく丁寧な指導をしてくださいました。

 

初めてのレッスンで言われた言葉、今でも忘れません。

「あなた…このくらい弾ければいいって思ってるんじゃないの?」

当時の私、恥ずかしながら思ってました。弾けるようになったら曲は丸をもらって次の曲へいくものだと。曲を突きつめて更なる美しさを求めたり、ピアニストみたいに弾けるようになるなんて、自分にはできないと思い込んでいたから。

それからは練習の内容が変わりました。そして、私の中でピアノという存在までもが変わりました。

先生から習ったこと、もう一度思い出すかのように当時レッスンを受けた楽譜をもう一度出して見てみました。そこには本当に沢山の教えがあり、先生のピアノを私もまた生徒へと伝えていかないと!とかみしめています。まだまだ紅林先生の名言は数知れずあります。それは、またの機会に…

今年の発表会の講師演奏は、先生との思い出の曲。

ラフマニノフ作曲 エチュード「音の絵」より作品33-2を選曲しました。

この曲はハ長調となっていますが、ハ長調のハーモニーを感じられる所が少なく、流れるようなリズムに明るくとも暗くとも感じられる なんとも美しいメロディーが一体どこに行きつくのだろうと思わせるような音楽で、まるで今の不安定な時代のよう。今だからこそ、しっくりくる曲となりました。

先生の教えをもう一度確かめながら、この曲ともう1度向き合うことで心の中でお祈りしようと思います。

紅林こずえ先生ありがとうございました。ご冥福をお祈りいたします。

 

 

 

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